場所に力を持たせた建築「三河内棚田テラス」

広島県の庄原では1000年アートと言う名前で里山を伝える活動があります。そのひとつに「三河内棚田テラス」があります。その世界観を味わいに行ってきました。私の感じた事を話してみますね。

ザ・里山アート「三河内棚田テラス」

里山を見下ろせる小高い場所にウッドテラスと椅子が並んでいました。

テラスが多角形の理由は?

テラスと言えば真四角か長方形な事が多いですね。
実はその方が材料も無駄なく利用しやすく安上がり。そして斜めに切らなくても良いので尖った部分を気にすることなく作る手間もからない。そして板の貼り方も長辺方向に平行に張り流すことが多いです。ここで言えば写真とは違い横方向になってしまいます。そんなことからつい三角の土地の場合はその中に入るように小さく四角にすることが多いのです。

ところがこちらのテラスは上に書いたよくある場合と全く違います。
狭い三角な敷地に合わせるように見事に斜めに切りそろえられ、その板の流れは正面の里山に伸びる様に張り流されていました。
そして、もしデッキを小さな四角にしてしまうとここで記念写真を撮った方々の写真はどこにでもある展望台に乗っているように見えるのでは無いでしょうか。
広がりのある多角形にすることでここに立った人は写真だけではなくより自然と里山の風景に繋がり広がりを感じながら自然に繋がれるようになっているのではと思います。

5脚の椅子

ザ・里山アート「三河内棚田テラス」

そしてこの5脚の椅子。こちらは辺境の地で多くの時間は誰もいない場所です。
例えばこんな場所に椅子がポツンと1脚あったとすると「テラスに登ってみよう」という気持ちより寂しさと空虚感が漂ってしまうのではないでしょうか。そこで、この椅子たちに来た人たちを迎えるウエイターの様な役割を担わせているかもしれません。

テラスに5人の人が並んでいると思い変えればきっと里山の広がりにまけない存在感。しかし3人だと少しさみしく感じてしまいそう。2人などの偶数だとセンターラインが感じにくく中心のない扇になってしまいます。それを踏まえての5脚。すごく絶妙なバランスを感じてしまいました。

こういった一つ一つがとても丁寧に作られた「三河内棚田テラス」また季節を変え時間を変え訪れたいと思います。

場所に力を持たせる建築

みなさんはつい建築といえば「建物」と思いますよね。
でも私からしてみてもこのテラスも立派な建築です。来た人を楽しませ里山の魅力を伝え続ける。
私はこんな人に何かを感じさせるモノづくりがとても大好きです。

参考 ザ・里山アート「三河内棚田テラス」https://www.shobara-info.com/satoyama-shobara/art/
参考 里山庄原1000年アート

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