有名建築家と呼ばれる人達はその時代と対峙しながら名を馳せてきました。
有名芸能人の様に万人に露出することはない為その名は伝わりにくい。
しかしいざ建築の世界に飛び込むと数々の建築家の名前を聞くことになります。
私は建築家の名前に明るくない男ですがそんな中でも日本の近代建築史を築いた「前川國男」氏の名前はしっています。
実は今回の東京の旅で東京江戸たてもの園に来たのはこの家を見るためでした。
建設当時戦時中の為「資材の不足」から30坪程度と建築制限がありました。
そんな今の東日本大震災の被害下にある日本に何か似た物を感じます。
この建物は前川邸となっていますが暫くは前川國男氏の設計事務所として機能していたそうです。家の中に十数人の所員が仕事をされていたそうです。
大屋根切妻のファサードです。
大谷石の敷並ぶアプローチの伸びた先の窪みを入ると玄関ですが、その側に大谷石の隔て壁があります。
この一枚の壁がポーチと庭の使い分けのラインになっています。
壁は導線を曲げ視線を遮り簡単に空間を分けれます。植栽が植えられくるりと回れば庭から室内というもうひとつのアプローチがあります。室内であれ室外であれ「少ない空間を有意義に使うために」壁一枚で用途もアプローチも区切られています。
玄関から入り正面が前川氏の書斎
書斎という空間は個人的にとっても好きです。
その人らしさみたいなものが漂う空間。
リビングの吹き抜け風景
寝室からキッチンを見ていると感じたのですが玄関から書斎など部屋から部屋への風景がどこも素敵なのです。人の立っている姿が風景になりそうな家。
そして部屋から外へと色々な繋がりが何故か気持ち良いのです。
建築家と聞けばもしかすれば「シンプルでかっこいい」「芸術的」などちょっとかっこいいイメージが皆さんにはあるかもしれません。しかし私の求めるものは「見た目は普通」でもいいんです。それより何より家全体の繋がりから生活感そしてそこから生まれるライフスタイルがいかに届いてくるかに興味があります。
こうして色々な建物を見て回わると自然とプランニングの際に私の引き出しから「空間感覚」がニョッキリ湧いてきます。
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